伝えたい味があります ~創業享保二十年~

伝えたい味があります ~創業享保二十年~

創業享保二十年 薩摩 丁子屋

創業享保20年とは、一体いつ?

すかさず社長の吉峯さんが「あと12年で300年になります」と。丁子屋さんの周りには石の蔵がいくつかあり、国指定登録有形文化財の標識が控えめに主張しています。

 

 

鹿児島県南さつま市加世田、万世という地域。

海が近く、数キロ先には日本一長い砂丘、吹上浜という美しい砂浜がなんと南北に47㌔も伸びています。そして近くには万世特攻祈念館があります。かつてここは飛行場で、たった4ヶ月しか使われず終戦を迎え、陸軍が最後に建設した特攻基地となりました。

万世は多くの歴史が詰まった情緒ある場所。海からの強い風が吹き、青い空の元、静かにたたずむ石の蔵から懐かしい声が聞こえてきそうな独特な雰囲気があります。

丁子屋の初代は島津藩御用商人で廻船問屋。万之瀬川河口という地の利を活かし、大阪や沖縄までの海運業を営み、藩令で琉球、中国など南方との交易でも活躍していたそうです。

丁子とはフトモモ科の樹木で、クローブといえばご存知の方も多いでしょう。この丁子から採れる油は漢方薬や香料、刀の錆止めなど、多くの用途があり重宝されていました。南方産の丁子油を商いしていたことから、この丁子にちなみ屋号を『丁子屋』としたのだそうです。

海運業だけでなく、交易で小麦、塩など各地の特産の原料が得られること、よい天然水があることから、醤油の醸造にも取り組み、温度変化の少ない石蔵が醤油の製造に適していることから、いくつもの蔵が建つようになりました。およそ300年も前からそのままです。

時代とともに海運業から醤油の醸造に変わり、万之瀬の恩恵と、歴史ある建造物に守られ醤油・酢・つゆなどの製造に日夜励んでいらっしゃいます。

一部の石蔵は開放されていて見学可能。時折、音楽やアート展示などイベントが開催されると地元の方々でにぎわいます。石蔵がほのかに温かいのは大事に守られ、地元に愛されているからなのでしょう。

それだから、お醬油、おいしいです。1つ1つを丁寧に大事に造られています。お醬油はモチロン、なごみ酢、つゆ、なんにでも合う調味液もあり、料理のレパートリーが広がります。

江戸時代からの伝えたい味。手間をかけ、こだわって作る丁子屋さんの味を是非お試しください。

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